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犬の恩返し [ほっこり]

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昔昔あるところに、ではなく我が家に迷い犬がやってきました。白い柴犬もどきの雑種だと思います。首輪をしていて散歩用のリードもついたまま。私の奥さんがその犬を連れてしばらく通りに立っていましたが飼い主はやってきませんでした。犬なら自分の家に帰るだろうと、リードをもったまま犬の動く方についていくと我が家にもどってきてしまうのです。さらに玄関をあけると私が立っているのに怖がる様子もなく家の中に入ろうとします。家の中で飼われているのでしょうが遠慮のない犬でした。
とりあえず玄関の前に犬をつないで家の中で奥さんと協議。その間、耳をすまして外の様子をうかがっていても、犬の名を叫びながら通りを歩く人も現れません。犬も吠えることもなくおとなしくつながれていました。散歩用のリードがついているということは、もしかして散歩中に飼い主が倒れてしまった、川に転落した、誘拐された、いずみのようにネガティブな情景が湧き出てきます。
何か馬鹿にしているようで気が引けましたが「犬がいて困っています」と警察に電話することにしました。当初警察は我が家でしばらく預かれないかと打診してきましたが、我が家は借家でペット不可、このまま放し飼いにすれば家に帰るかもしれないが、途中で誰かに噛み付いて事件になっても知りませんよと脅した結果、引き取りにきてくれることになったのです。
30分ぐらいするとひと目でノンキャリア組と判別できる小太りで人のよさそうな警察官がひとりやってきました。警察署まで散歩がてら戻るつもりなのかと思っていると、後から赤色灯を点滅させたパトカーが到着。駐車禁止を取り締まるミニパトではありません。高速道路も疾走している本格的なパトカーです。赤色灯を点滅させるような事件ではないとは思ったのですが、まあ平和な町の証しでしょう。
中から舘ひろしもどきの警察官が登場すれば絵になりましたが、おりてきたのは爆笑問題の大田のようなひょろひょろっとした警察官。犬たち、いや警察官や犬を家にあげるわけにはいかないので事情聴取は玄関先で行われました。夜間ですから小声で話しているつもりでも声は響きます。お隣さんが二階の窓を少し開けて下界の様子を観察しているようでした。パトカーと警察官を見て、隣のご主人がとうとう何かやらかしたらしいと家中大騒ぎになっていたのかもしれません。
調書に署名して一件落着。激しく抵抗したものの犬は私もまだ乗ったことのないパトカーに乗せられ警察署に連行されていきました。電話での私の脅しに対する報復か、もし飼い主が現れなかった場合は処分されることもあります(その場合、署名したあなたのところに化けてでるかもよ)いう言葉が耳に残りましたが。
でも、その日のうちに飼い主からお礼の電話がありました。飼い主によれば柴犬もどきの雑種君、脱走の常習犯だとか。散歩から帰った途端、家から出て行ったというのです。いずれにしても雑種君は処分される羽目にもならず、めでたしめでたし。龍宮城に連れていってくれた亀や、美しい織物を織ってくれた鶴のように、あの雑種君がどんな恩返しをしてくれるのか楽しみにしていたのですがいまだに何も起こっていません。

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