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二軒のたべもの屋さん [楽]

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どちらもコロナ禍になる数年前のことです。
久しぶりに新橋で飲みました。友人との約束の時間まで烏森口周辺の飲み屋街を歩いてみてびっくりしました。立ち飲み屋の多いこと多いこと多いこと。サラリーマンのメッカと称される街ですから親父ばかりかと思いきや、イタリアンやフレンチの立ち飲みチェーンが急成長していた時期だからでしょうか若い女性が目立ったのです。会社や上司、部下への不満の声などとても聴こえてきそうにない雰囲気でした。友人が連れて行ってくれた店はレンガ通りを少し入ったところにある駅周辺の喧噪がうそのような路地にある小料理屋。和服の似合うふくよかなおかみさんと、カウンターの向こう側で黙々と調理する細身のご主人だけのカウンターのみの小さなお店でした。ワイン通のおかみさんとのことでワインの品ぞろえも充実していましたが、私は東北三県の「ひやおろし」を飲み比べさせてもらうことに。友人と西側に知られてはまずい話をしているときは決して割って入ることもなく、おかみさんはご主人と小声で会話し、くだけた内容のときはおふたりの体験談でさりげなく会話に参加してくれます。たらふく飲んで食べて話して時間はあっという間に経過。花金でもなかったので閉店まではいられませんでしたが、店の外に出て見送ってくれたご主人から名刺をいただきました。お店の名前はご主人とおかみさんの名から一文字ずつとったに違いありません。立ち飲みもいいのでしょうが、やっぱり座って声を張り上げることなく会話を楽しめるお店には敵いだろうと思いました。
週末の日中はどこもかしこも人と車で溢れる鎌倉ですが、午後8時となると駅からちょっと離れた幹線通りでも人とすれ違うことは稀です。まして日曜の夜には車だってあまり走っていません。奥さんの誕生会を催したのは駅から離れたスペイン料理屋でした。スペイン料理といえばパエーリャとかガスパチョが目に浮かびますが、その店はスペイン北部バスク地方の郷土料理が主体。最近人気のバルのようなお手軽価格、お手軽料理というわけでもありません。店内も整然としていて落ち着いています。現地のレストランで修業を積んだ若いオーナーシェフの振るう料理はどれもこれまで経験したことのない食感と味わいで感動の連続。CAVAで乾杯したスタート時間が遅かったので、締めのしょうがのグラニテが供される頃には客は私たち家族だけ。私たちのテーブルとは少し離れたカウンターの向こうにいるシェフにスペイン料理に魅了された理由などを尋ねていたのですが、彼がなんと地元出身、我が子たちの中学の先輩と知って会話は一気に盛り上がりました。なぜ鎌倉で店をたずねると「自分の地元で地元のお客さんに自分が感動した料理を食べて欲しかった」との答えが。
当時はまだ開店して3年、ランチなし、観光客を頼りにしないレストラン経営は大変に違いありません。彼の料理を目当てに世界中からグルメが押し寄せる日まで、地元出身シェフの営む店を応援することは私たち地元民の責務だと痛感した夜でしたが。コロナの影響でしょう、この夏、閉店となりました。でも来年初旬を目途に鎌倉の別の場所でのオープンする準備中とのこと。今度こそ応援し続けないと思った次第です。一方新橋のお店は、都の要請による営業自粛期間を経て、アクリル板なども設置し「感染防止徹底宣言」ステッカーも習得、営業を続けています。こちらもぜひまた伺いたい。その日が1日も早くくることを祈ります。

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