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哀愁の御茶ノ水  [ほっこり]

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40数年前、私は大学受験をひかえた高校生でした。現役合格を目指していたものの私が受験勉強を始めたのは高校3年生の冬。入試まで1カ月余りしかない正月あけのことです。成績優秀であるがゆえの余裕からスロースターターを決め込んだのでも、大学受験をなめていたわけでもありません。私には私なりの勝算があったのです。
私が受けた大学は英語、国語、選択科目3教科で300点満点でしたが、過去の事例から私は185点を当確ラインと分析しました。日本人なのだから国語は読解できて当たり前。本も新聞も人並みに読んでいたので漢字の読み書きの勉強も不要だし、古文漢文が出題されたとしても配点は二20点に満たないはず。自分勝手な解釈で国語は何もしないでも65点は楽勝と考えたのです。選択科目は私の得意とする記憶力を活かせる日本史とし、受験勉強はそれに集中しました。実際、日本史に関しては練習問題をやっても結果はほぼ完璧。満点は無理として最悪でも90点は固いと考えました。これで155点をゲット。あと英語で30点とれれば合格という計算です。アクセント問題や記号で答える問題もあるので可能性は大であろうと私は考えていました。しかし高校1年生の時、100点満点のテストを真剣にやってひと桁の点しかとれなかったこともある私に英語で30点とることは相当ハードルが高かったようです。合格発表を待たずとも結果は明白でした。
最後の受験校の入試を終えた日。他の受験生よりひと足早く教室を後にすると、外には朝方より冷たい風が吹いていました。空一面を覆う重苦しい鉛色の雲。そんな中、私は御茶ノ水駅に向かってとぼとぼと歩きました。駅まであとわずかとなった頃、通り沿いのレコード屋からなんとももの悲しげな声の歌が舗道を歩く私の耳に聞こえてきたのです。それが誰の何という曲であるかということは、受験勉強時にラジオを友としていた私にはすぐにわかりました。私はその声に導かれるようにレコード屋に吸い込まれて行き、そのレコードを思わず購入してしまったのです。高校時代の友人たちはすでに合格が決まっていたので、「あー、これから浪人生。1年間ひとりぼっちか、長いなあ」と私は思っていました。精神的にもかなり落ち込んでいる寂しい時なのになぜこんなレコード買ってしまったのか、もっと景気のいい元気の出る曲を買わなかったのか、私はマゾか、受け取ったレコードをカバンにしまいながら私は自分を責めていました。レコード屋の外に出ると空から白いものが・・・・・
今でも時折ラジオから聞こえてくるレターメンの「LOVE」。あの声、旋律を耳にするたびに、私はあの日のことを思い出すのです。

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