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勝手にシンドバッド [旅]

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コロナ禍で人々が外出を自粛するずっとずっと昔のゴールデンウイーク(GW)の最中、鎌倉の稲村ガ崎から七里ガ浜、腰越を通って江ノ島まで、波打ち際をのんびり歩いたことがありました。中学生の頃は海に向かって石を投げたり、海岸に捨てられた手漕ぎボートで無謀にも川を上り途中で沈没して溺れかけたり、夏でなくとも毎日のように学校帰りに海に行って時間をつぶした記憶があります。結婚してからは子供と一緒に海に行き、キラキラと輝く海面を眺めながら缶ビールを片手に海岸近くのお肉屋さんで調達したコロッケを頬張ったものですが、子供が成人した今では海に行く機会は花火大会のときぐらい。砂浜を歩くことなどほとんどなかったのです。
かつて暴走族が大乱闘を繰り広げた稲村ガ崎から江ノ島に抜ける134号線は、月に何度かは車で走りますが大抵は渋滞。でも冬であろうが窓を全開にして潮風を感じつつ、車中からサーファーを眺め「波もないのに馬鹿じゃないの」とか、浜辺を歩くカップルをみては「今が幸せのピークだよ」、並行して走る満員の江ノ電を見ては「休みの日にラッシュ並みの電車に乗って楽しい?」などと悪意に満ちた言葉を浴びせながら渋滞を楽しんでいます。そんな私も車から見おろしていた砂浜をなぜか無性に歩きたくなったのです。渋る奥さんを連れだって電車とバスを乗り継いで稲村ガ崎へ。その日は江ノ島の向こうに富士山を見ることこそできませんでしたが、風もなく穏やかな晴天。私たちの前には波もほとんどない青く静かな海が大きく広がっていました。何時間も要することなくこの浜に立てる幸せを感じずにはいられません。振り返って134号線を見ればGW中とあっていつもの週末以上の大渋滞でした。車中で「あの二人はこの風景にマッチしない」「入水自殺でもするんじゃないの」と囁かれていようが関係ありません。狭い車の中でつまらない音楽きいてないで、都会じゃ聴けない波の音にじっくり耳を傾けなよ、ゴム草履や裸足で砂浜を歩きなよ、水虫も治るから、その渋滞じゃ目的地に着くのは夕方だねと教えてあげたい気分でした。由比ガ浜や材木座に比べアクセスがあまりよくないせいか浜辺には人も犬もまばら。この辺りの海は急に深くなるので遊泳禁止区域、危険といわれていますが場所によっては遠浅なこと、波打ち際は海に向かって傾斜しているので意外と歩きづらいこと、落ちているゴミが案外少ないこと、いつもは路上・車中から眺めていた海岸を実際に歩いてみるといろいろと発見がありました。腰越付近では波打ち際で甲羅干ししていた小さな亀にも遭遇。すぐ近くにいながら鎌倉入りを許してくれない兄頼朝宛に、心情をせつせつと綴った腰越状を握りしめ涙する義経の姿を若い頃のその亀が見ていたかもしれないと考えると感動ものでした。
腰越漁港で義経も食したであろうシラスを買った後に江ノ島へ。さすがGW、そこは人ヒトひとで溢れかえりまるで原宿の竹下通り状態です。海岸を歩くこととともに当日のミッションだったさざえのつぼ焼きにありつくことは叶わず香りをかいだだけ。浜辺はともかく江ノ島のような観光地へは仕事を休んで平日行くに限ると実感したGWの1日でした。

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