SSブログ

フライングゲット [楽]

201022_0357_777_jal-640.jpg
ワインに興味のある人なら誰でもその名を耳にしたことがあるに違いないボジョレーヌーボー。その年にボジョレー地方で獲れたぶどうで造られた新酒のことですが、それを口にできる解禁日は世界共通で毎年11月の第3木曜日午前0時と定められています。今年は11月19日が解禁日ですが、10月もまだ数日残っているというのに、もう成田空港に到着しはじめているそうです。
私がワインの輸入会社にいた80年代半ばはワインブームの走りでした。日本は時差の関係で本場フランスより8時間早くボジョレーヌーボーを味わえるので、成田空港近くのレストランなどで世界一早くヌーボーを飲もうというイベントまであったほど。実際はニュージーランドの方が日本よりちょっとだけ早く解禁されるのですが。ワイン好きにとっては年に1度の新酒を楽しむお祭りなのかもしれません。でも輸入業者にとっては過酷な1日だったのです。大手の輸入元は19日午前0時以前に都内にある自社の保税倉庫にすでにモノを搬入しており、日付が変わったと同時にお客様の元へ届けることも可能でした。しかし小さな輸入業者はそうはいきません。解禁日早朝、空港で通関をパスしたワインを引き取り、都心にあった会社に運びます。会社到着は昼前後、それから開梱しボトル1本1本に輸入元などが記載されたシールを何人かで貼らなければなりませんでした。当然事務所に運び入れる時間ももったいないので、ビルの正面玄関前や駐車場の出入口のスペースをちょっとだけお借りして行います。シールの貼られたものから再度箱詰めされ順次取引先の元へ。とにかく早く欲しいという近くのレストラン等の取引先は会社まで自ら引き取りにきていました。輸入したすべてのワイン、多分50箱600本ぐらいだったと記憶していますが、シール貼り作業を終え、主要な取引先へのすべての納品が終わるは午後3時か4時。もうぐったりです。さあこれで自分たちもやっと新酒が飲めるぞと喜ぶ社員は皆無だったと思います。今でこそペットボトルのヌーボーなど1000円以下で手に入るヌーボーはありますが、当時は3000円以上したかと。解禁日から1カ月も経たないうちに船便で運ばれた普通のボジョレーが市場にでまわりますが、そのお値段は1000円前後。ヌーボーは航空運賃と関税分高価な品物になっていたわけです。それは現在も同じこと、お祭りだと思って飲むのなら「あり」ですが、私としては同じ金額をだせばもっと美味しいワインが楽しめると思っています。
冒頭に記した解禁日まで1カ月近くあるのに、すでに日本に輸入された理由。昨年より2週間以上早いそうですが、コロナの影響で航空便が減少しているため輸送期間に余裕をもたせるための措置だとか。しかし解禁日までの間、倉庫で静かに保管され誰も口にしないのでしょうか、絶対我慢できない人がいると思います。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。