SSブログ

脳裏に焼き付くお言葉 SeasonⅢ [楽]

mer02.jpg
「明日帰っちゃうんですよね」。誰しも言われてみればその通りでも、必殺パンチのようにダメージを受けるひとことを浴びせられた経験があるはずです。
数年前、我が子が成人式の式典で行われたビンゴ大会で見事にペア海外旅行券をゲットしました。ソウル、香港、シンガポールの3都市の中から好きな行き先を選べたそうですが、親孝行な我が子はそれを両親にプレゼントしようとしたのです。彼が選択した行き先は一番遠いシンガポール。欲深い両親なので少しでも遠くに行ければ“お得感”を味わってもらえるに違いないと考えたのでしょう。「若いうちに異文化・異国を知ることはいいことだから友達といってらっしゃい」などと父も母も口が裂けても言うことはなく、喜んで旅行の目録を彼から奪い取ったのでした。旅行は2泊4日。初日は夕刻の便でシンガポールへ。深夜に到着してホテルへチェックイン。2日目は市内観光か自由行動。3日目は夜まで自由行動。そして深夜便で日本へ。機内泊して4日目の早朝成田着というスケジュールでした。私も奥さんもシンガポールには行ったことがあったので市内観光はパス。インド街とか自分たちの訪れたいところを丸2日かけてのんびり散策できると思っていたのです。日が替わる頃シンガポール空港に到着。入国審査を終えてロビーにでると旅行社の現地人スタッフが出迎えてくれました。役所広司似のその男、ホテルに向かうバスの中でシンガポールのあらましをひとしきり語った後、ボソッとひとこと呟いたのです。それが冒頭のフレーズでした。すでに日は替わってツアー第2日目に突入しています。その後ホテルでチェックインして何時間かはベッドで眠ることになりますが、朝起きてもまだ第2日目。丸1日ぶらぶらしてホテルのベッドに潜り込むのも夜更かししない限りまだ第2日目。3日目の夜半に集合して空港へ、そして4日目突入寸前の深夜便で出発。だから役所広司の発言は間違ってはいません。確かに私たちは明日帰るのでした。でも丸2日はのんびり異国情緒を味わおうと考えていた私たちにはかなりショックなひとことだったことは事実です。
先日初のお蔭参りに行きました。神様の前でお腹を鳴らしては失礼とまずは名物伊勢うどんで胃袋を満たして店をでたときのことです。地元中学生の集団がお揃いの運動着姿でこちらに向かってきます。列は乱れ気味ですが皆それぞれ何かを話しながら楽しそうに歩いていました。そのすれ違い様、彼らひとりひとりが「こんにちは」と私たちに挨拶するのです。ひとりひとりに応対はできませんでしたがこちらも「こんにちは」と笑顔を添えて会釈します。古都鎌倉の街を歩いていたって地元の中学生に挨拶されたことなどない私にはとても新鮮、そして清々しい気持ちになりました。観光地の住人としてお客様に感謝し礼儀正しく接しようという街全体の取り組みなのかもしれません。でもそれをちゃんと実践している子供たちも立派だと思います。あの中学生たちの「こんにちは」は邪心に満ちた私を一瞬にして子供の頃のように澱みない清らかな心に戻してくれる逆の意味での必殺技、鮮烈なひとことでした。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。