SSブログ

今宵はロマネコンティでも開けますか [楽]

DRC-19451.jpg
2年前ニューヨークで開かれたオークションで伝説のワインといわれる1945年のロマネコンティ1本が約6000万円で落札されました。私が落札者に頼んでヤクルト容器にお裾分けしてもらおうとしても総2階建旅客機エアバスA380の座席全部に福澤諭吉さんを座らせても足りないかもしれません。我が家がワインに費やす資金の一生分以上の金額です。それだけ投じても楽しめる時間は一瞬。もったいないもったいない。酔いつぶれることはできませんが我が家がつぶれてしまいます。
19世紀半ば、ヨーロッパの葡萄の樹は害虫によって壊滅的な被害を受けましたがロマネコンティの畑の樹だけは難を逃れたそうです。しかし20世紀となった1945年、戦争によって肥料・消毒剤の入手も困難となった結果とうとう害虫に侵されてしまいそれらの樹もすべて根から引き抜かれることに。つまり1945年もののワインは何百年も引き継がれてきた樹から最期に収穫されたぶどうで作られたワインということになります。さらに1945年には600本のロマネコンティしか瓶詰めされなかったので伝説のワインと称されているのでしょう。その内の1本ですから6000万円は妥当な価格なのかもしれません。もっとも600本しか生産されていない割にはオークションに出品される1945年のロマネコンティが多いのではという謎もあるようですが。ボトルに貼られたラベルにはクレジットカードや紙幣のように特殊な技術が施され本物であることが証明されているわけはありません。単なる紙ですから簡単に印刷できます。長い歳月を経てきたように紙に細工することなど今の技術なら容易いことだと思います。ならばちょっとずるい人は別のワインに模造したラベルを貼って市場に流すことを考えるでしょう。またワインは生き物だと言われます。瓶詰めされた後も呼吸をして熟成し続けているそうです。完璧に保管されていない限り人間同様年が経てば老い劣化するでしょう。いつまでもお嬢さんでいられるわけがありません。絶対本物だと確証のないワイン、たとえ飲んでも楽しめるとは限らないワインに大金を投じる人とはいったいどんな人なのでしょう。何年か所有した後にオークションに出品する側となり高値で落札させ利ざやを稼ごうという魂胆の投機家。熟女を好む粋人。それとも偽モノであろうが味が劣化していようが目の前にあるワインが瓶詰めされてからどんな歴史を積み重ねて自分の手元にやってきたのかあれこれ瞑想するロマンチスト。いずれにしても単純にただそれが飲みたいと思って落札したお金持ちのワイン愛好家だとは思えません。
ちなみに私これまでの人生でロマネコンティを口にしたことはありませんが、幸運にもラ・ロマネは2度ほど味わっています。日本ではあまり知られていない銘柄ですがロマネコンティの真上の畑でもともとは同じ区画内の畑、ソムリエ風に表現するならエレガントさと力強さをあわせもつバランスのとれた逸品でした。最後に雑学をおひとつ。もしお知り合いで1946-51年のロマネコンティを飲んだという人がいたら、その方は大嘘つきか騙されたのです。全ての樹を植えかえた畑でぶどうが獲れるようになる52年までロマネコンティは1本も造られなかったのですから。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。